キャンプの醍醐味の一つとして、様々なキャンプ飯があります。
お洒落なツーバーナーのガスグリルで作るスキレット料理や焚火台に薪をくべてダッチオーブン料理等、アウトドアでの料理は、種類も多く多彩な味を楽しめます。
その中でも最もポピュラーでキャンプの醍醐味あふれる料理といったら、炭火を使ったBBQ料理でしょう!
この記事では、美味しいBBQ料理に必須な「炭」の特徴や種類、価格、必要量、お薦めの一品、火の起こし方から後始末までの炭についての様々な情報を纏めました。
また、炭を使った料理や炭を扱う為のキャンプ道具についてもご紹介させて頂いております。
目次
1.炭火の魅力
やはりアウトドアでの食事といったら炭火を使ったバーベキュー料理を思い浮かべると思います。ガスバーナーを使った調理に比べて多少の手間はかかりますが、大自然の中で食す炭火料理は、何にも代えられないご馳走です。
特に、食材を直火で調理するバーベキュースタイルにおいて、炭火料理は、一般家庭で使用するガスでの料理に比べ、以下の利点を持ってます。
表面がパリッと焼きあがる
ガスでの調理を行う場合、食材表面の温度は250度程度で、燃焼時に水蒸気を発生させます。
それに対して炭火は、食材表面の温度が300度~600度と非常に高温で、燃焼時に二酸化炭素しか出さない為、余分な水分を食材に付加することがないです。
また、炭火から放出される遠赤外線は、周りの空気に関係なく直接的に食材に熱を伝えられる為、エネルギー効率が非常に高いです。その為、炭火で調理した食事は、びっくりするほど表面がパリッと焼きあがります。
食材の中がふわっ~と焼きあがる
大きい塊肉や魚の食材の内部では、食材の水分がゆっくり移動して少しずつ熱が入ってきます。表面をずっと炭の高温で焼いていると当然焦げてしまいます。
食材の表面を高温で処理し、遠火でゆっくり火を入れることで内部での熱の対流が起こり、内部までゆっくり火を通すことができ、食材の中がふわっ~と焼きあがります。
燻煙効果で食材を更に引き立てる
また、炭自体の香りに加え、肉や魚の油が落ち、燃焼することでと香ばしい匂いが食材に付着し、味覚だけではなく嗅覚からも五感を刺激します。
熱の伝わり方は下記の3種類です。伝導:接触している温度が高い物質から低い物質に熱が伝わる現象です。フライパンで食材をソテーする場合等がこの事象に当てはまります。対流:気体や液体がぐるぐる動くことによって熱を伝達する現象です。煮物等はこの事象で熱を伝えてます。放射:直接触れていないものに空気等を通さずに直接熱を伝える現象です。炭火は燃焼時に遠赤外線を発生させ、放射により食材に熱を伝えます。
2.木炭の種類
木炭は、木材を燃焼させた可燃物ですが、樹木の種類や加工方法によって異なる特徴を持ってます。
種類による特徴を理解し、キャンプのシチュエーションに合わせた木炭を選ぶことが、炭火を扱う上での第一歩です。
黒炭
ナラ、カシ、クヌギ等の比較的硬い広葉樹を、専用の土窯で空気を調整しながら着火し、密封することで鎮火していきます。
生成された黒炭は火付きが良く、立ち消えしずらく火持ちも良いです。岩手切炭、茶の湯炭等が有名です。価格はそれなりでしょうか。
マングローブを使った輸入黒炭もありますが、爆ぜやすく、灰、煙、匂いが多く食材の風味を損ねることがあるので余りお薦めしません。
白炭
ウバメガシ、アラカシ等の広葉樹が使用され、黒炭と同様に着火し、さらに空気を入れ温度を上げ精錬強化の作業をします。このときの窯の温度は1,000℃を超えることもあります。
頃合いをみて、灰や砂に水を混ぜた消し粉をかけて鎮火します。この時、灰や砂の色が着くので「白炭」と呼ばれます。
白炭は、黒炭より更に火持ちがいいですが、火付きが悪く、時間がかかるのが難点です。価格的にも比較的高価な炭になります。
成型炭
上記の2種類に加えて、木材製造時に発生するオガ屑等を加熱圧縮し、成型したオガ炭と言われる成型炭が有名です。
性質は、白炭に近く、火持ちはいいですが、火付きが悪い木炭になります。しかし、白炭よりかなり安価です。
お薦めの木炭は?
キャンプでのバーベキューには、火持ちと火付きのバランスが良い黒炭が最もお薦めの種類になります。
白炭や成型炭は、火持ちがいいのですが、火付きが悪く、アウトドアでは取り扱いが大変です。
また、輸入木炭は安いですが、品質的に国産の黒炭をご使用頂くことをお勧めします。
その他参考サイト:いい炭ドットコム
3.炭の分量、価格
炭の分量
炭の使用量は、時間で考えると「コンロ1つにつき1時間あたり1キロ」、人数で考えると「大人1人あたり1キロ」が目安になります。
人数で考えるか、時間で考えるかは微妙なところですが、コンロの台数と時間で考えるのが妥当ではないでしょうか。
但し、持っていく量については気をつけなければなりません。途中で燃料が無くなってしまうと何もできなくなってしまうので、余分に持っていく事をおすすめします。
参考:BBQ大学
炭の価格
炭の価格は、下記を参照にご購入頂ければと思います。注意点としては、国産の黒炭と輸入した黒炭では値段と品質が全く異なりますのでお気をつけて!
炭の価格イメージ(※本当にざっくりです。)
1kgあたり価格 | |
国産黒炭 | 500円~1,000円前後 |
輸入黒炭 | 200円~500円cm |
白炭(備中炭) | 2,000円前後 |
成型炭 | 200円~1,000円前後 |
4.炭への着火方法
さて、ここからが本番、炭への着火を開始しましょう。
木炭は、直接火をつけようとしても簡単には着火しません。火付きがいい黒炭を選んだとしても、結構大変です。
それでもバーナー等で時間をかけて着火させるかという方法もありますが、着火剤、薪等で火を付けるのが一般的でしょう。
実際の火付けの手順やポイントを順に確認していきたいと思います。
火起こしの基本
まずは、火起こしの基本を理解しましょう。
炭が燃焼するには、必ず空気が必要です。炭を緻密に積んでしまうと空気の通り道がなくなってしまいます。
炭を組む時は炭と炭の間に空気が流れる隙間を作ってあげましょう。
風を起こすと火が強くなるのは、炭に新鮮な空気を運んであげることで燃焼しやすくなる為です。
また、初めに火をつける炭の大きさにも注意してください。炭は、大きければ大きいほど長持ちはじますが、火は付きずらくなります。
初めは小さい炭に火を付け、炭の火力を使って徐々に大きい炭に火を移していきます。
着火剤を使う
それでは着火剤を使った火起こしの手順です。
まずは、着火剤をグリルの中心において、炭を組み上げてください。先に炭を組み上げてしまうと着火剤の置き場がなくなってしまうのでご注意を。
炭の上に着火剤を置いても火は付きません。最も高温な炎の先端部分、外炎がしっかり炭に接触するような組み方が必要です。
火起こしの基本、「空気の通り道の確保」「初めに火をつけるのは小さい炭」に則って、小粒の炭を中心に空気が入り易いような形態で組み上げてください。
炭を組み上げたら着火剤に火を付けて、炎が炭にしっかり当たってることを確認しましょう。
この時、うちわ等で風を起こすのはNGです。
風を起こしてしまうと着火剤の炎が揺らいでしまい、一定の部分に継続的に熱を伝えることができません。
着火剤の火が消えるまでは、じっと待ちましょう。
薪を使う
着火剤がない場合は、薪を使って代用することもできます。
薪を使う場合も、炭と同様に小さい枝に最初に火を付け、大きい薪に火を移していきます。
いくつかの薪が熾火になったらその上に炭を組み上げて火を付けます。
その後の手順は、着火剤の使用時と一緒です。
熾火(おきび)とは、薪や炭が炎を出して燃えた後、炎が消え熱を帯び真っ赤になっている状態です。
炎を出している状態の方が高温ですが、熾火は安定した火力を保つことができます。
バーナーを使う
バーナーを使った火起こしは、絶対に失敗したくない時にやる火起こしでしょう。
正直、バーナーでの火付けはある程度長く炭を炙らないと火が着かないのであまり効率が良い方法ではありません。
直火での火付けは、燃料を使ってしまうので、正直もったいないです。
但し、時間をかければ必ず火が着くので、確実性は高いです。
失敗したくない時は、困ったときのバーナーを持っていく事はありかもしれません。
バーナーを扱うときは、少しでも炙る時間が少なくて良いように小さな炭いくつかに火が着くように炙りましょう。
また、安全面から、直接肌が火に触れて、火傷しないように長袖と軍手をお勧めします。
炭は、爆ぜることもあり、注意が必要です。
チャコスタ(火起こし器)を使う
チャコスタは、非常に便利なキャンプ道具です。チャコスタはチャコールスターターの略です。日本語では、火起こし器と呼ばれます。
えんとつ効果と言われる空気の流れを使って、火を起こす作業をより早く、簡単に完了させる、効果的なキャンプ道具です。
通常、着火剤を使用して火を起こすのですが、びっくりする程簡単に火が着きます。
お薦めのチャコスタ:編集中
5.炭の配置
炭に火が着いたら、炭の配置を行います。キャンプ初心者にはよくありがちですが、炭はグリルに均等に配置してはいけません。
ガスでの調理の場合は、火力の調整が強火から弱火まで、つまみ一つで調整可能です。
しかし、炭を使った調理の場合は、そうはいきません。炭の配置によって、火力の強いゾーン、弱いゾーンを作り、食材を移動させることで火力を調整します。
美味しいBBQ料理を作るには、食材に適した火力を準備すること、つまりは炭の配置が非常に重要になります。
まずは、炭の3ゾーンをしっかりと理解し、適切に配置したレイアウトを覚えておきましょう。代表的なレイアウトを2つご紹介させて頂きます。
炭火の3ゾーン
炭を配置する時は、下記の3つのゾーンを作る事で火力を調整します。
強火ゾーン:
230℃近い高温のゾーンで、炭を重ねて厚みを出します。
肉の表面に焼き色をつけて、BBQならでの香ばしさを食材に与える時に使います。
長時間焼いてしまうと簡単に焦げてしまうので注意が必要です。
中火ゾーン:
約180℃の中温域で、調理のメインとして使うゾーンです。
炭をフラットに並べて面積を広めに確保しましょう。
弱火ゾーン:
150℃以下の温度でじっくり火を通すゾーンです。調理済みの食材を逃がしておく場所としても使います。
このゾーンには炭を置かず、中火ゾーンの炭との距離によって温度を調整します。
アルミホイル等を敷いておくと、グリルが汚れず、片付けが楽になります。
温度計がない時は、「ミシシッピ法」と呼ばれるハンドテストを行います。火から20cm上に手をかざして1ミシシッピ」、「2ミシシッピ」「3ミシシッピ」・・・と数えてどれくらい耐えられるかで火の温度を推測するやり方です。
10ミシシッピ以上数えられたら弱火、5ミシシッピ前後まで数えられたら中火、3ミシシッピを数えられないようなら強火というのが目安です。
個人差もあるようですが、割と正確に測れると言われます。
レイアウト1:スリーゾーンファイア
出典:日本バーベキュー連盟
強火から弱火まで段階的にゾーニングすることで、様々な食材に対応できる万能型のレイアウトです。食材の特徴や調理方法に合わせて各ゾーンを選択し、調理します。通常のBBQ料理では、このレイアウトが最もお薦めです。
レイアウト2:スプリットゾーンファイア
出典:日本バーベキュー連盟
食材をじっくりと時間をかけて調理するときに使用するレイアウトで、グリルの中央にスペースを作り、両側に炭を配置します。中央が弱火ゾーンとなり、食材はここで調理します。
塊肉等の大きく火を通すのに時間がかかる料理に向いています。
参考:日本バーベキュー協会
6.お薦めの炭火料理
編集中
7.炭の後始末
使用した炭の後始末をしっかり行うことは、ベテランキャンパー、キャンプ初心者問わず、当然のマナーです。放っておくと山火事の原因にもなります。
炭の後始末は、炭の特徴と燃焼の仕組みをしっていればそんなに難しいものではありません。。
適切な後始末のやり方を理解して、楽しいアウトドアライフを満喫しましょう。
禁止事項
まず、炭の消し方としてやってはいけない事を2つ挙げさせて頂きます。
・水をかけて火を消す。
火の着いた炭は、非常に高温で、まとまった炭に直接、水をかけたりしてはいけません。消えないどころか、灰が飛び散ったり、高温の水蒸気が発生し、火傷する可能性も有り、非常に危険です。
・土に埋める
火の着いた炭を直接、土に埋めてはいけません。土に埋めても簡単に火は消えませんし、誰かが誤って踏んでしまったら大ケガに繋がります。
また、炭は地面に埋めても土に戻ることはありません。環境にも良くないので止めましょう。
適切な後始末
炭の火を消すのに最もお薦めな方法は火消し壺を使った火消しです。
燃焼には酸素が必要ですので、火の着いた炭を火消し壺に入れて、酸素の供給を遮断します。
炭を入れてしまった後は火が消えるのを待つだけなので手間もかからず、短時間で消化が完了します。
火を消した炭は、次回での使用も可能で、エコにも繋がります。捨てる場合は、燃えるゴミでの処理が可能です。
火消し壺自体の価格についても高額ではなく、キャンプに持っていく一品に加えて頂ければ重宝します。
火消し壺がない場合
火消し壺がない場合については、鉄製のバケツ等の入れ物に水を浸し、トングで一つずつ入れてください。
こうする事により灰が飛び散ったり、水蒸気の発生等を抑えることができます。
鉄製の入れ物や水が無い場合は、消えるまで待つしかありません。相当時間がかかりますが、ゆっくり待ちましょう。